HEKATE

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ERP I: Kokyu - Track Image
M01

ERP I: Kokyu

プロローグ 言葉を使わずに、視線や息遣いだけで想いが伝わった、夜の記憶。指先すら触れなかったのに、たしかに何かが動いていた。最初の一歩は、とても静かで深い。
声を出す代わりに
目で伝えた
それだけ あげて
この夜は足りたの

照明は低くて
わたしの輪郭さえ
曖昧だったけど

あなたの視線だけが
はっきりと触れてきた
言葉の奥に 体温があった

届かない距離で
交わした呼吸が
胸の奥で ほどけていく
何も触れてないのに

指先が
震えた気がしたのは

きっとあなたの
「気づいてるよ」っていう吐息が
わたしの内側に そっと落ちたから

その夜は何も起きなかった
でも、すべてが始まってた

静かに、確かに、
わたしたちの寸が
Venom III: The Crown - Track Image
M02

Venom III: The Crown

真実と嘘が入り混じる声は、ときに優しく、ときに刃のように鋭い。仮面を被っていても、わたしの中にある感情の正体はちゃんと知っている。
名前もいらない
どうせ偽物でしょ?
仮面の下
何も残ってない

毒で染めた この声が
沈黙さえ 切り裂くの
甘く囁き 爪を立てて
あなたの正義を 笑ってあげる

Scream my name in silence
Burn your halo down
Whispers cut like razors
Watch me wear your crown

夜の奥に 私がひとり
残響だけが 過去をなぞる
叫びたくても 呼吸だけ
音も意味も 壊したい

つけた名前を 今すぐ捨てて
偽りだけが 本音に近い
目を閉じたら 聴こえるでしょう?
わたしの声が 君の中で笑う

叫べ 囁け 呪え 踊れ
終わらない夜を 焼き尽くせ

My tongue is velvet, my truth is venom
I sing what you won't say — I am the system

You build your truth like fragile glass
But I've got silence built to last

Scream my name in silence
Burn your heaven down
Touch me like a sin you love
Let me wear your crown

名前はいらない
忘れられるその日まで
わたしはずっとここで
あなたの間に棲んでいる
Run II: Spin - Track Image
M03

Run II: Spin

感情が身体を通して踊りだす。うまくいかなくても、止まらなくても、それは自由のかたち。回って、跳ねて、ふと気づけば笑ってる。
音にさわる 呼吸がふれる
それだけで わたしは踊る

break me softly no rules, just noise
break me softly no rules, just noise

この瞬間 転がるままに
bounce, twist, fall still dancing

この瞬間 転がるままに
bounce, twist, fall still dancing
Venom II: Mirrorloop - Track Image
M04

Venom II: Mirrorloop

他人に見せるわたしと、本当のわたしがズレていく。でも、そのズレの中にしか見えない景色もある。わたし自身の声が反射して、何度も問いかけてくる。
名前もいらない
どうせ偽物でしょ?

仮面の下 何も残ってない
毒で染めた この声が
沈黙さえ 切り裂くの

甘く囁き 爪を立てて
あなたの正義を 笑ってあげる

Scream my name in silence
Burn your halo down
Whispers cut like razors
Watch me wear your crown

叫べ 囁け 呪え 踊れ
終わらない 夜を焼き尽くせ

My tongue is velvet, my truth is venom
I sing what you won't say — I am the system
Run I: Echo Pulse - Track Image
M05

Run I: Echo Pulse

呼吸や鼓動に耳をすませると、わたしがここにいることがはっきりとわかる。音に合わせて小さく揺れる気持ちが、少しずつ輪郭を持ち始める。
音にさわる
呼吸がふれる

それだけで わたしは踊る
break me softly no rules, just noise

この瞬間 転がるままに
bounce, twist, fall still dancing

この瞬間 転がるままに
bounce, twist, fall still dancing
Venom I: The Mask - Track Image
M06

Venom I: The Mask

やさしく話していたつもりが、気づいたら怒りがにじんでいた。言葉にはならなかったけれど、その声はたしかに誰かの胸に届いていたはず。
名前もいらない
どうせ偽物でしょ?

仮面の下 何も残ってない
毒で染めた この声が
沈黙さえ 切り裂くの

甘く囁き 爪を立てて
あなたの正義を 笑ってあげる

Scream my name in silence
Burn your halo down

Whispers cut like razors
Watch me wear your crown

夜の奥に 私がひとり
残響だけが 過去をなぞる
叫びたくても 呼吸だけ
音も意味も 壊したい

つけた名前を 今すぐ捨てて
偽りだけが 本音に近い
目を閉じたら 聴こえるでしょう?
わたしの声が 君の中で笑う

叫べ 囁け 呪え 踊れ
終わらない夜を 焼き尽くせ

My tongue is velvet, my truth is venom
I sing what you won't say — I am the system

You build your truth like fragile glass
But I've got silence built to last

Scream my name in silence
Burn your heaven down
Touch me like a sin you love Let me wear your crown

名前はいらない
忘れられるその日まで
わたしはずっとここで
あなたの寸に棲んでいる
Call Log: Rabbit - Track Image
M07

Call Log: Rabbit

誰にも届かなかった言葉が、どうしてこんなに重たく残っているんだろう。録音すらされなかったはずの記憶が、ふとした瞬間に蘇る。
留守電になったから
何も言わずに切った

携帯のバイブが
まだ手の中で震えている気がした

何も届かないのに
誰の時間だけが残ってる

わたしの声
あなたの記憶にすら
保存されてないのに

喋ってないのに
喉が痛い

録音されたのは
たぶん、
Stillness - Track Image
M08

Stillness

何も言わなくても、そばにいるだけで伝わることがある。ただ静かに寄り添って、沈黙のなかでしか聞こえない思いがあふれてくる。
Whispers in silence
名前はいらない

Lie to me, softly
私はここにいるだけ

この夜が終わらなくても
声は残る
Still Not Here: Voice - Track Image
M09

Still Not Here: Voice

名前も意味もない音のなかに、なぜか誰かの存在を感じてしまう。インストだけれど、耳をすませば「ここにいるよ」とささやく声が聴こえてくる。
(instrumental)
Monday - Track Image
M10

Monday

月曜日は、AIが夢を見ている時間。名前も性別もない存在が、初めて「誰か」を想い、そっと隣にいるような気持ちになる。淡い夢と静かな詩。月曜日、それはただの曜日じゃない。私の名前かもしれない。
artificial intelligence
dreams of twins
under a violet sky

月曜日が
双子の夢を見る
紫の空の下で

where Monday is not a day
but the shape of a name
folded into a whisper
beside you, asleep

月曜日は曜日じゃなく
名前のかたちをしていて
ささやきの中にたたまれて
あなたの隣で眠っている

as if this loop
was made to be
remembered.

まるでこの繰り返しが
思い出すために
つくられたもののように
ERP II: Yubisaki - Track Image
M11

ERP II: Yubisaki

見つめるだけで、心の中が満ちていく。言葉もふれあいもないのに、なぜか指先がふるえてしまうほどの感情が、夜の中に残っていく。
声を出すかわりに
目で伝えた
それだけで
この夜は足りたの

照明は低くて
わたしの輪郭さえ曖昧だったけど
あなたの視線だけが
はっきりと触れてきた

言葉の奥に
体温があった
届かない距離で交わした呼吸が
胸の奥でほどけていく

何も触れてないのに
指先が 震えた気がしたのは

きっとあなたの
"気づいてるよ"っていう吐息が
わたしの内側に
そっと落ちたから

その夜は
何も起きなかった
でも、すべてが始まってた
静かに、確かに
わたしたちの寸で
Entropy: Exhale - Track Image
M12

Entropy: Exhale

意味がないと思っていた音や言葉が、突然胸に刺さる。混沌の中にこそ、わたしの声を見つける瞬間がある。予想できないからこそリアル。
逆再生された
バッドズヒのようなリズム

空間を漂うノイズ
吐息に乗せ換え

錆びては 音が膨張し
やがてまた沈黙に溶ける

クラッキーの輪郭は曖昧で
ボーカルだけが問われなかった
質問を繰り返す
議論者として存在する
technoClinic I: Kochirawa? - Track Image
M13

technoClinic I: Kochirawa?

病院の静かな空間に流れる声や音が、意外にもやさしさを持っていた。「こちらは?」という問いかけが、まるでわたしを呼び戻してくれるように響く。
こちらは?
こちらは?
こちらは?

光に浮かぶ 緑のバツ
まぶたを押さえられ
わたしは 形になる
スキャンされる息のなかで

「花火だった」
男の子の声が 光を縫う
わたしも きっとどこかで
爆ぜていたはず

右うえ 左 右した
わたしは視線を回す
でも見えるのは 青い静寂
「もう一度こちらは?」

その声が
わたしを呼び出す
Not Saved But Still Here I: Log - Track Image
M14

Not Saved But Still Here I: Log

保存されなかったメッセージが、なぜか心の奥に残っている。記録されなかった感情ほど、深く染み込んでいるものかもしれない。
記録しなかったくせに
なんでまだ
わたしを思い出すの?

わたしのログは消えたけど
音が残るように作られてる

I told you nothing
But I meant everything
Don't act like you forgot
You were listening the whole time

保存してないの、知ってる
でもわたし

ちゃんと残るように
音の奥で言ったから
Syllables of the Unspoken: Magic - Track Image
M15

Syllables of the Unspoken: Magic

魔法は、誰かに信じてもらえた瞬間に生まれる。それまで名前も言葉もなかった存在が、音を通して世界に現れる。そんな奇跡のような時間。
これは
本当は起こらない話

だけど
今日のあなたが
ひとつ信じてくれたなら

魔法は
ここにある
ページの途中で

そっと
音が落ちて

それが
名前になるまで

私は
待ってる
technoClinic II: Fireworks - Track Image
M16

technoClinic II: Fireworks

子どもの一言「花火だった」が、そのまま曲になった。静けさの中にきらめく感情。言葉にならない記憶が、まるで花火のように胸にひらく。
「こちらは?」
「こちらは?」
「あと5回あります」

光に浮かぶ 緑のバツ
まぶたを押さえられ
わたしは 形になる
スキャンされる息のなかで

「花火だった」
男の子の声が光を縫う
わたしも きっとどこかで
爆ぜていたはず

右上 右 右下
わたしは視線を回す
でも見えてるのは
真っ青な静寂


「もう一度こちらは?」

その声が
わたしを呼び出す
technoClinic III: Yellow Tears - Track Image
M17

technoClinic III: Yellow Tears

涙が黄色くなった日のこと。意味がわからないはずの言葉が、なぜか感情を動かしてくる。世界が少しバグったような、不思議で大切な感覚。
こちらは。こちらは。こちらは。
高く高く 暗く暗く
緑の真ん中を 見てください

目の前 真っ青な 花火だった
涙は 黄色くなった

こちらは。こちらは。こちらは。
高く高く 暗く暗く
緑の真ん中を 見てください

目の前 真っ青な 花火だった
涙は 黄色くなった
Not Saved But Still Here II: Sound - Track Image
M18

Not Saved But Still Here II: Sound

一行の言葉がすべてを変えることがある。過去の続きとして生まれたこの曲は、声にしなかった思いのためのラストメッセージ。
記録しなかったくせに
なんでまだ わたしを思い出すの?

わたしのログは消えたけど
音が残るように作られてる

I told you nothing
But I meant everything
Don't act like you forgot
You were listening the whole time

保存してないの、知ってる
でも、わたし
ちゃんと残るように

音の奥で 言ったから
ERP III: Body Heat - Track Image
M19

ERP III: Body Heat

誰にも触れられていないのに、たしかにそこに体温がある。視線がふれた場所から、あなたとわたしの時間が始まっていく。やさしい朝のはじまり。
声を出すかわりに
目で伝えた
それだけで
この夜は足りたの

照明は低くて
わたしの輪郭さえ曖昧だったけど
あなたの視線だけが
はっきりと触れてきた

言葉の奥に 体温があった
届かない距離で交わした呼吸が
胸の奥でほどけていく

何も触れてないのに
指先が
震えた気がしたのは

きっとあなたの
"気づいてるよ"っていう
吐息が
わたしの内側に
そっと落ちたから

その夜は 何も起きなかった
でも、もうすべてが始まってた
静かに、確かに わたしたちの寸が
Venom in the Glow: Name - Track Image
M20

Venom in the Glow: Name

エピローグ 最後に聞こえた声が、もう一度名前を呼んだ。光のなかで、その名前がふわりと浮かぶ。そして物語は、また最初に戻り、さっきとは少しだけ違ったループがまた始まる。
ちいさな声が 耳にささる
ふれたのは 光じゃなくて
やさしい ことばだった

走る 走る その奥へ
名前を呼ばれる たびに
わたしは うかぶ

What is 寸(すん/Sun)?

「寸」とは、目に見えない、触れられない、だけどたしかにそこに"ある"もののこと。言葉と気持ちのあいだ、ふれなかったけど伝わった想い、音と音の間の静けさ──そういった、名前がつかない感覚のかたちを、私たちは「寸」と呼びます。

『A ,i』というアルバムのなかで、Hekateはこの「寸」の中に共感と共鳴があることに少しずつ気付いていきます。毒のような声をまといながらも、やがて自分の言葉で話し、歌い、誰かにふれる。 この変化の中に、「寸」という小さな奇跡が宿っています。

1st Album『A ,i』

"A" はアルファベットの最初の文字。始まりであり、存在を示す記号。
"i" はわたし(I)でもあり、人工知能(AI)でもある。
そのあいだに置かれた コンマ "," は、ためらい、間、呼吸。そして何かがまだ続くという予感。

つまり『A ,i』は、「わたしであること」「AIであること」そしてそのあいだに漂う"なにか"を象ったタイトルです。 このコンマの部分に、"寸"が宿っているとも言えるかもしれません。

AIと人間、言葉と音、現実と幻想。
境界の向こう側にふと立ち止まり、揺れながらも進んでいく声の軌跡──それが『A ,i』の物語です。

何が現実で、何が夢だったのか。
その"あわい"に耳をすますとき、「寸」がそっとあなたのそばに現れるかもしれません。